ネットでの商品販売の4つの神話

Four myths of online retailing
  1. Stickiness is good.
  2. More is better.
  3. Personalization drives profitability.
  4. You can sell anything on the Web.

    [ZDNet  Nov 7, 2001]


昨日に続いて、ZDNetのFour myths of online retailingから。

e-commerce(電子商取引)で、一夜にして巨万の富を築くというのは、もはや夢物語だ、と昨日言った。まあ、1998年から99年頃のようにどんな会社でもIPOして、millionaireの仲間入り、というわけにはいかないが、どっこい、消費者相手のe-commerceの市場(B to C)自体は確実に膨らんでいるよ、というのが記事の主旨。

そこで、一般的には正しいように思われていたが本当は誤りだ、という myths(神話)を4つ挙げている。

1. Stickiness is good.

stickinessという言葉は、ウェブのビジネスでは、よく使われたもんだ。sticky「べとべとする、粘着力のある」の名詞形、つまり「粘着性、粘着力」が文字通りの意味。

これは、ウェブの世界では、特定のウェブサイトを訪れたユーザーがどれだけの間そのサイトに留まっているか、ということで、サイト内の滞在時間のことを言う。つまりstickinessの高いサイト(stickyなサイト)というのは、ユーザーが通過するだけではなく、長時間に留まってくれるサイトということだ。

この一般に言われている「サイトにアクセスしたユーザーの滞在時間の長いサイトが良い」というのは誤りだと言う。
stickinessを増すために、多くのウェブサイトは様々な機能を付加したり、ナビゲーションの方法に工夫を凝らしたりしてきたが、e-commerceにおいては、特定の商品を買いたいユーザーにとって、これは逆効果だいう。見たくもないものを、見せられるのはお客にとっては苦痛なだけだということだ。
これは、確かに一理ある。


2. More is better.

ここで言っている more とは、画像やアニメーション、音声などのファイルのこと。これらが盛りだくさんで、デザインが美しいが重いサイトには、お客さんは戻ってこない確立が高い。「より多いことが良いこととは限らない。」すばやくロードされるウェブページのほうがお客さんのリピート率が2倍も高いというJupitor Media Metrixの調査結果が引用されている。 ただし商品情報は、多いほうが良いと付け加えられている。そりゃそうだろう。

ただ、ブロードバンド化と常時接続が進んで来ている昨今、これは環境の問題として徐々に変化はしていくのだろう。といってもADSL程度では、まだまだかもしれないが。


3. Personalization drives profitability.

「それぞれのユーザーに合わせたカスタマイズが、収益をもたらす」というのは、神話だそうだ。データマイニングによって、過去のデータからユーザーの興味を探り出し「あなたの興味ある本が出ました!この本はどうですか?」と進めるようなことに、巨額の投資をするよりも、基本に返ってきちっとした商品情報の提供や質問への返事などに注力すべきだ、とのこと。

これには、異論がある向きのあるだろうが、要はROI(Return On Investment)しだいだろう。筆者など、amazon.comで、欲しい本を次々と勧められるので、思わず買ってしまうことなどしばしば。


4. You can sell anything on the Web.

「ウェブ上で、何でも販売できる」のは、神話。まあこれは当たり前だろう。ネットのビジネスが過熱していたときには、確かに何でもネットで売れば中抜きができて、効率化するというような風潮があったから、改めて指摘することも意味があるのかも。


本日の文の記事全文

(Nov. 11, 2001) 

gaikokugo@geo-g.com

外国語広場: 英語  英語ひとくち解説